森山町の保健センターは、「もうひとつの家」という子どもたちやお年寄りにとって、自分の家と思える空間作りが必要です。デイサービスに来るお年寄りはわざわざ施設に来るのに抵抗があるものです。この家を造るために住まいの空間と同
切妻の屋根とはっきりした妻面が雁行して集合することで、屋根面の重なりが落ち着いた中にも品格のある美しい景観を作り出します。
住まいの空間と同様の大きさの小さな木材を使って大きな家をつくる"ももづき葺ぎという屋根の伝統工法があり、その精神に則って小さな部材でスパンの空間をつくる構造を考案しました。105mmの角材を利用して、金物を使わないめり込みトラスによって大空間を実現しました。
これらの工法は接着剤や人工素材を極力使わないため、シックハウス問題を起こさない健康な建物であり、分別解体が容易で解体後の焼却時の環境負荷が低い建物とすることができます。
したがって本施設の木造架構の提案は、九州地方の森林資源を活用し、地元の優れた大工の技能に支えられた本格木造建築であり、森林と職人の文化を育んだ町民の日常的な親しみやすい施設になっています。